傷病手当金制度
休職が決まれば、会社を休むことになります。
会社を休むということは、働かないので、収入が得られない状態になります。
短期で休養をとる場合、長く勤めている方には、使っていない有給(年休)が多く残っていることが多いでしょう。
なので、100%の給料が出る有給で賄うのが収入面では一番お得な方法になります。 (昨年は1か月程度だったため、有給での休職…なので単に長い連続有給を取得したことになります)
しかし、この有給では賄えないような長い期間の休みを必要とする場合、当然「欠勤」扱いとせざるを得ません。 「欠勤」なので、その期間は会社としても給料を支払うことは出来なくなります。 そうなってしまった場合、収入がゼロになり、生活に大きく影響してしまいます。
そこで「傷病手当金」
そこで存在するのが「傷病手当金制度」となります。 これは、会社が負担するわけでも、国が負担するわけでもなく、加入している健康保険組合から受け取れる手当になります。
受給条件は
- 病気や怪我の療養のために休業していること
- 上記のため、仕事が出来る状態にないこと
- 連続する3日を含み、4日以上仕事が出来ない状態であったこと
- その休業期間中に対して、給与の支払いがないこと(支払いがある場合でも本制度で貰える額より少ない場合は、差額が支給される)
となっています。
うつ病による休職で、有給を使い果たせば、すべて条件は満たせるものでしょう。
※有給を残したままでも傷病手当金に切り替えは可能です→参考記事へ
どうやって手続きするの?
今回、私はひとまず3ヶ月の休養の診断書が出ました。 しかし、有給によって2ヶ月程度は賄えそうな状況です。 なので、3ヶ月目からが、本制度の対象期間になってきます。 では、受給するために何をすればいいのか?です。
(以下は健康保険組合によって異なる部分もあるので、詳細は健保にご確認ください)
申請のために必要な書類
申請書は、加入している健康保険組合から取り寄せて下さい。
(ネット上で申請書のテンプレートがダウンロード出来るところもありそうです)
申請書に加え、
- 事業主の証明(会社に書いてもらうもの)
- 療養担当者の証明(医師に書いてもらうもの)
などが必要です。
分からなければ、健保や医師、会社に相談すればよいでしょう。
健保に提出するものですが、急ぎたい場合には会社が相談に乗ってくれたりもするようです。
いつ受給できるの?
生活に支障が出てしまうほど遅くなってしまう、という記事を良く見かけます。
しかしそれは、上述した申請書類の完成が遅れてしまうことが原因です。
自分で書くものはともかく、会社や医師が作成してくれるものに対して遅れが出ると、その分遅くなってしまうという訳です。 特に、医師に記載して頂くものが遅れることが多いようなので、そのあたりに協力的な医師であれば、そこまで支障は出ないと思います。
いくら受給されるの?
1日あたり:「支給開始日以前の12カ月間の各月の標準報酬の平均額」÷30日×3分の2
という計算です。(3分の2というのが多数派ですが、これも健保によって違う可能性があるので要確認です)
分かり難いかも知れないですが、ようは過去1年の平均収入の3分の2は貰えるぞというイメージでOKです。 →過去1年の平均月収が30万だったなら、休業期間が1か月ならば、その1か月分の手当は20万支給される、ということです。
→単純に月計算ではなく、休業期間は日単位になるのですが、上記の考え方で日割り計算した額、と考えればいいです。
!あれ?おかしいぞ?
傷病手当金の計算は、平均月収÷30×3分の2…これは1日あたりに貰える額となります。そうなると、実際に会社を休んでいるのは、30日でないと、月収は減ってしまうのでは?と思えてきませんか?
土日が休みの会社なら、1ヶ月休むということは、約20日しか休んでいないことになるので、月収として考えると、実際は更に少ないじゃん?ってね。
でも、そこは大丈夫です。期間として計算されるので、土日も含んでいます。なので、本当に過去平均収入の3分の2、という解釈で大丈夫です。
また、平均月収というのも、普段の「手取り月額」ではなく「標準報酬月額」という、税金や保険料が引かれる前の金額なので、↓で書く、その月の税金や保険料が差し引かれても、結局は手取り(手元に残る分)として3分の2程度になることに変わりはないです。
いつまで受給可能なの?
合計で1年6ヶ月の間、受給可能です。
税金や保険料はどうなる?
傷病手当金は手当であって給料ではないため、免除でしょ?
と思うかも知れません。
代表的なものだけ記載しますが、
【税金】
・所得税→免除対象になります。
・住民税→本来免除対象ですが、前年所得に応じて支払うものなので、昨年分として支払いが必要になります。(休業によって翌年分が減税される可能性はあります)。
【保険料】
・社会保険料→免除にはなりません。
よって、保険料や昨年の所得に対する住民税は支払う必要があることに注意しなければなりません。(退職金から差し引くようなことが出来る場合もあるようです)
貰える割合や税金・保険料などを考えると、不十分かと感じると思いますが、申請しなければ更に苦しいことになるので必須の制度です。