"うつ病 体験"ブログ

うつ病 体験記(進行形)

ストレス社会の中で発症してしまった「うつ病」の体験記、思いやノウハウなどを記します

"助言" 社長との面談

会社改革の個人意識の確認等の意味を含めて、本年度は社長との個人面談が開催されている。 役職的に上位の者から順次実施されるため、今年昇格している私は割と早く順番が回ってきた。 会社改革について語れる程の余裕もなければ、率先して進めるような立場で仕事をしていない私に取っては苦痛であり、再び逃げることも考えたが、1対1の面談ならば自分の状態も含めて聞いてもらうことは可能かも知れないと考えて、挑むことにした。 私の病気のことは知って頂いており、復職当時も無理をしないように言って頂いていた方なので、緊張こそしたものの、パニックを起こすようなこともなく、終えることが出来た。 今回は、その場で色々話せたことや、受けた"助言"、気付いたことなどがあったため、忘れないように残しておこうと思う。 

 

社長の過去の病気

面談は事前に設問事項が記載された用紙に回答を記入した上で、それを見せながら行うものだった。 内容は、改革に対する意識を示すようなものから、改革についての疑問点がないかを確認する項目であったが、後半には不安事項はないか、その他自由記載欄も設けてあり、良い構成になっている気はした。 面談が始まると、設問用紙とは関係なく、まず病気の話題を取り上げ、今の状況など話を聞いて頂けた。 社長自身が「メニエール病」にかかっていた、ということを以前から耳にしていたため、それについても話しを伺ってみた。 社長は今の私と同じくらいの年齢の頃、酷いめまいに襲われて動けなくなってしまったことが発端で、それ以降も教育講師実施中に症状が出て、中断になってしまうようなこともあったようだ。 心の病とは違い、他者からも目に見える症状であるため、周囲の認知もされ易い点では私が感じている不安とは違うものではあった。 しかし、私の症状も話していくと、共通点はいくつかあった。

  • 色々と病院を回っても原因不明と言われる(実際はメニエールだったのかも不透明)
  • 倒れる程のめまいは稀だが、常時ふわふわしているという症状は今も継続している
  • 症状が出て以降、色々な刺激に弱くなった(運転が怖い、高所が怖い…)
  • …など

それでも今、社長という立場に立って仕事をしているのは、心の問題が関わっていなかったからだろうか。 目に見える症状として現れている分、明確に病気と認知されて、やむを得ないものだと思い易かったのかも知れない。

 

どうやって治したのか

当然、今のように社長として働ける程に回復出来た理由やノウハウがあれば知りたくなる。 それいついても、伺ってみたが、実際は今も完治している訳ではないというのが結論だった。 "助言"して頂いたことは、

  • 症状が出ることを想定して対策を準備しておくこと
  • 治るものではないならうまく付き合うこと

この2つ。 前者は具体的には酷いめまいが起きてしまった時に、すぐに対処するためのクスリとそれを飲むための水を常時持参しておくことを意味していた。 後者は前者の対策を含めて、症状を受け入れてそれなりに付き合うのみ。いつかそれが普通だと慣れていく

だから君も時間はかかるだろうが、うまく付き合っていけば、慣れていくのではないか、ということだった。 やはりそのようにしていくしかないことは理解出来たのだが、比べて見て違う部分は多い。

心が潰れてしまったこと、症状として目に見えるものが出ておらず認知され辛いこと、常時ある不安やめまいに対してはすぐにそれを止めるクスリがないこと、など。

そのままノウハウとして真似ても同じように治るとは思えなかったが、症状が出た時の対処として、目に見えなくともしんどくなったらその場を離れるような方法は取っても良いのかも知れないとは思えた。

打合せ中に、お腹が痛くなれば、席を外すことはあるように、気分が悪くなったり苦しくなった時も同じように、「気分が悪い」といって外すことは許されることなのだ。 元々お腹が痛くなっても退席するのは性格的に苦手な面はあり難しいのかも知れないが、それでも「宣言して退避する」ことで認知はされることになる。 これは一つしっかり覚えて使えるようにしたいと感じた。  

 

負い目・焦り

改善や慣れることに時間がかかる部分は、理解が得られて少し安心は出来た。 しかし、しっかり元のように仕事が出来る日がいつになるのか、それが答えられないことや、何かと配慮して頂いている現状に負い目を感じていることは確かであり、それが焦りに繋がっていることもある。 会社からの配慮がある状態であり、それがいつまでとも言えずに迷惑をかけている。いつになったらその恩が返せるのか分からないし、もしかすると返せる日は来ないかも知れない。そんなことを正直に話した。 それに対しては、考え方を逆にすればよく、今まで頑張ってくれたから今の会社があるわけで、今の配慮は会社が私に恩を返しているんだと考えなさい、そんな回答だった。 採用した以上、会社には定年まで働けるよう配慮をする必要があり、状況に応じてパフォーマンスを活かせるような仕事に割り振っていく、だから今の仕事も無意味ではなく、会社の価値になっている、と。 この回答には、正直、救われた気がした。 深く話もせずに「頑張れ」や「元気良さそう」などと言ってくる人は論外だが、上辺で「無理するな」と言っているような人の話よりも安心出来た気がした。 ただ、最後に「甘えはいけないよ」ということも添えて頂けた。 これもしっかり理解していてこその言葉だったように思う。 言われるまでもなく、自分の中にもこれは存在しているからこそ、焦りとの狭間で葛藤が生まれている。 それはやむを得ないことで、やはり徐々に挑戦はしていかなければならない。  

会社改革への提言

病気の話をきっかけにして、会社への意見も自由に話せそうな雰囲気になったため、それについても少し話をさせて頂いた。 最近、同じような症状かどうかは分からないが、休職に入る社員は増えている。 これに対して、部として出している対策案は「面談の実施」となっていた。 しかし、この面談は、以前から実施しているものであり、また、改革によって「目標とその評価」に主眼が置かれたものに変化してしまっている印象がある。 上層部からは見えないのかも知れないが、面談の記録上にも以前にはあった「その他意見」といった欄は今は無くなっていることもあり、尚更社員の思いや状態を知る機会を失っている。この面談は中間管理層が見る側となって部下に対して行う活動であるため、どうしても評価に目が行き、そういった話が出来なくなっていることに気付いていないように感じている。 本気でこの事態を問題に捉えていて面談で対策したいならば、見るべきは評価に限らず、その人の状態・気持ちをしっかり聞くことであり、それを徹底させるべきである。 これについては、社長はしっかり受け止めてくれて、部長クラスへの徹底をしたいとのことだった。 また、業務改革によって仕事の内容は難しいものに変化している。 それを乗り越えるために、人のコミュニケーションが重要で一緒に解決しよう、という方針も謳われている。 しかしコミュニケーションの実体は、声の大きい(我が強い)人に引っ張られるし、威圧的になったり険悪になったりしている。 今まではあまり周囲を気にすることは少なかったが、黙々と席で作業する時間が増えた現状、自席付近の会議机での会議の会話が聞こえてくる機会が増え、そのように感じている。 それが社内の会議・打合せの実体ならば、弱いものはやる気を失くすし、自信もなくす。 結果として、会社への不満も増えていくだけである。 これについては、納得はして頂けたが、そもそも難しい仕事なのだし、色々な意見で衝突してしまったり、能力不足で弱者となってしまうものが出るのもやむを得ない。 能力はそういった経験で得ていくものだし、それでも向上しないならば、それ相応の業務へ異動するような配慮をするしかないのかも知れない、とのことだった。

 

働く目的・モチベーション

プライベートな問題として娘のことも話したが、これについては社長も経験がなく、何も助言はしてあげられないとのことだった。 これに対する直接の解決方法は分からないが、今出来ることは、私自身が長く働けるようにしていくしかない。 「長く働く」にはモチベーションが大事な要素になってくる。 社長自身は、今何のために頑張っているのか、もう正直なところ分からない、と言い切っていた。 確かにそれは、理解出来る気がした。 ・若い頃は、技術などに興味を持ち、それを習得して成果を出すことに喜びを感じてモチベーションになる。 ・結婚や出産で家族を持てば、それを養うことが働く意味になる。 これは実際に私自身も経験していることである。 しかし、子供が問題もなく成長し、巣立っていった後は、目的を失ってしまう。 だから上層部にはモチベーションがなくなっていくようだ。 私はまだ家族のために、と思える期間が続く訳であり、それを何とかしなきゃいけないことが、毎日出社する理由になっているならば、それはそれで良いのではないか。 当然、将来を考えれば不安にはなるだろうが、今はそう思って継続して出勤出来るようにし、改善や慣れで少しでも良くなってから考えていけば良い、と。  

 

会社は人で出来ている

私の会社はブラックなのか、そうではないのか。世間で言われる程ブラックではない気はしている。 それでも、このような病気に陥ってしまう者は発生している。 だから「会社」という大きな括りでそれを語れることではなく、それを構成している「人」に依存している部分が大きいのかも知れない。 本気で理解している人もいれば、上辺だけの人もいる。更には全く理解のない人もいる。 それを踏まえて正しく行動出来る人もいれば、出来ない人もいる。 そんな個人が絡み合って、何かを成し遂げようとするのが業務であれば、常に全体が人を大事に出来るかどうかなど分からない。 どうにもならないことかも知れない。 しかし、今回の社長面談では、話すことに耳を傾けて頂けたし、理解もして頂けた。 提言したような部分で、新たに上層に伝わったこともあるかも知れないが、同じことを感じている部分もあった。 過去の私を見て来てくれていた人だったからこその理解だったのかも知れないが、こういう人が牽引している会社なら、安心できるかも知れない。 ただ、将来を考えると、社長が入れ替わっていくのは避けられない。 こういう考え方をしてくれる人が居続けてくれるのだろうか。 現時点で上辺だけの話しか出来ないような上司が、その立場に立っていくようになった時、同じように理解を示してくれるようになるのだろうか。 結局、我々が会話する相手は「会社」ではなく、それに属する「人」であるのだから。 私自身は現時点で、出世を望んではいないが、もしも少しでも回復して再び部下を見るようになった時には、同じようなことを言ってあげられる人でありたいと思う。